しゃちほこファイナンス

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名著を読み解く|『The Goal:企業の究極の目的とは何か』

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 忍耐、我慢、辛抱。そんな言葉を心の中で何回反芻しただろう。きっと僕だけではなく、多くの日本人、否、人類がここ数日の間に思っていることだと思います。しかし、だからと言って悲観してばかりではいけない。この猛威が去って以降のためを思い、少しでもGetting Somethingしなければいけない期間だと個人的には思います。少しでも人類の復活を彩るために。そんなときに読む一冊として「The Goal」を推したいと思います。米国で初めて出版されたのは1984年ですが、日本語訳の初版は2001年でした。当時、日本はバブル真っただ中、これが日本でも取り入れられたらアメリカの立場が…、という説もあるようで、くしくも日本化が許されたのはバブル崩壊後となります。いずれにせよ、2014年時点で1000万人を超える読者がいるといわれる名著です。個人的にはビジョナリーカンパニーとセットでお勧めしたい一冊となります。

 

 アメリカ人の太郎さんは、ある日、倒産寸前の工場の立て直しを任されます。利益がでないのなら経費削減しよ。まずはリストラやな。そんでもって、工業簿記では生産にかかったコストは完成品に按分されるからたくさん作ったほうがお得やし、最新機械を導入してバシバシ作ったろ。そんな具合で改善策を打つのですが全然うまくいかない。さて、困った。そんな太郎は、本社のニューヨークに反省の弁とともに経過報告をした帰り道、偶然大学時代の物理ゼミの教授五右衛門先生と再会します。本当に困っていたもんだからちょろっと愚痴ったら、あれよあれよと現場も知らないのに、状況を言い当てることにびっくりする太郎さん。ここから、五右衛門先生直伝の秘伝のメソッドを伝授される太郎さんによる工場立て直しの快進撃が始まりまるのでした。


 冒頭に掲げた企業の究極の目的とは、という投げかけに対して「利益を設けること」と答えています。しかし、本著のすごいところは「そもそも利益とは」というところを、マントルたどり着くんちゃうかというくらいに深堀りするところにあります。「目からうろこ」なんていう言葉に収れんされるとチープになってしまう、自分の語彙力のなさを恨みますが、驚きの連続です。ロジカル思考とはまさにこれ、そのようにも思いました。僕が一番感銘を受けたのはボトルネック特定のくだり。五右衛門先生が「工場内部の様々な問題も、そこに因果関係があるんじゃ。それらを結びつけ、根本的な問題の特定と解消をはかるんじゃ。」という教えに導かれた太郎くんは、すべての問題を解決していくんです。その過程は本当に痛快でした。(あ、言い遅れましたが本著はすべてストーリー形式で展開されます。ですから、難しい経済書籍とは違い、映画を見るかの如く、時に自身を投影しながら、ストーリー展開に入りこんでいくことができます。そこもオススメポイントのひとつ。)


 いま、全人類に襲い掛かっている猛威は、僕たちに自身と向き合うための時間を与えてくれいていると思います。地球の王者として君臨する僕たちに「お前ら駆け抜けすぎているから一回ストップな。ちょっとお前たちが走ってきた道振り返ってみ」って。そこはきっと、とっちらかりまくっている、これは想像に難くありません。自分の未来、恋人・家族との関係、会社組織、政治経済。問題のレイヤーは様々ですが、たくさんの問題がとっちらかっている。そんな問題にたいして、しっかり向き合ってみる。何があかんのじゃと。たくさんの問題が出てくる、わけわからんと。やっぱりそう簡単なことじゃなかった、後悔する。だけど本著はそんな僕たちに解法を教えてくれるような気がします。根本的な問題が必然的に浮き彫りになる。この困難が去ったあかつきには、行動できる、一歩前に進める、そう想像します。そしたら、前よりもいい世界になるんだろうな。ね、太郎くん?ハム太郎もそういうだろうなと思いながら、今日の話は締めくくりたいと思います。

 

ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か

ザ・ゴール ― 企業の究極の目的とは何か